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2010.02.25

踊る感覚と絶対領域

江崎さん、一度ノリ始めたら誰も止められないって感じですからね。
T1君

スポーツチャンバラをやっているとき、極まれに体の重さを感じなくなる。
羽が生えたような、という感覚とはちと違うのだけれども、「今のオレは負けない」という感覚が体中を駆け巡るときがある。
目と思考と体と剣がピタリと一つになったような、時間がスローモーションで流れていくような感覚。
そこに”それ”と”己”だけがあって、全ての思考が空になり、ただ目の前の”それ”と対峙しているのが楽しくて仕方がない、そんな感覚。
上下関係とか体の不調とか、そういったものから全て解き放たれて”純粋”になっている「神の時間帯」みたいな時がある。

僕はそれを勝手に「踊っている」状態、と呼んでいる。
剣心一体とか忘我の境とかゾーンとか色んな表現があるけど、自分的には「踊る」という表現がしっくりくる。

自分の呼吸が、どこか遠くからの音に聞こえ。
視界には”それ”しか映っておらず、体から発する”気”のようなもので満たされる「江崎の世界」が出来ていく。
「江崎の世界」の中では負ける気がしない。多分、負けたことがない。
”それ”が「江崎の世界」の中にいる間は。
真に踊っている間のみ「江崎の世界」は僕の周りにある。

ピリピリとした緊張感の中で体が思考のスピードで動く。
”それ”がわかる。みえる。
そんな不思議な空間が出来上がること上がる。

そしてふと集中が切れたとき、「あぁ、今、踊ってたな」と思う。

”それ”しか見えてない状態。
”それ”と”己”だけがそこにあって、それだけが全てで、溶けて一つになりながらもそれぞれ別個。
踊っているとき、”それ”しか見えなくなる。

人はそれを「周りが見えなくなる」「突っ走っている」状態だから、よくないことだと言う。
お前は周りが見えないと、よく言われる。

チャンバラに限らず、文章を書いていたり仕事をしているときによくその「キュゥゥゥーン」とした感覚になることがあった。
数年前までは。
今は心身のバランスが崩れてしまっているからなのか、どうにも「入れない」。

入ったら無敵なのに。
入ったらなんだってできるのに。
それが惜しい。

いつしかまた、あの感覚を味わえるのだろうか。
我も彼もない、あの充実感を。


今はただ、体調を整えることだけができることだと自分に言い聞かせて、ヌルリと日々を生きている。

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2010.02.23

化狂の思い出

それは、風が強かった日の出来事。

僕の座席は一番前。
廊下側。右隅の最前列。
光の具合によっては黒板が見えづらい、ちょっと嫌な席だった。

いつもは時間に正確なあいつも、今日は遅れて来るらしい。
始業のチャイムが鳴っても、しばらく現れなかった。

退屈で退屈で仕方がない化学の授業。
数分でも授業時間が短くて済むと思えば、待ち時間は苦痛じゃなかった。
化学を愛し、化学に人生を捧げたと噂される変人は、まだ現れない。


歴代の先輩からは、彼は「化狂(かきょう)」というあだ名なのだと伝え聞いていた。
その風貌は確かに変人的で、マッドサイエンティスティックで、旧時代の遺物のようだった。
やせこけた顔。ロングなサイドヘアーでそれとなく隠されたてっぺんはげ。
ぎょろ目。
かすれた声。
小さな身長。
しわくちゃの顔。
全てが異形だった。


耳を澄ませば風切り音が聞こえる。
窓の外には枯れ葉が舞い散っている。
教室の中の暖かさが、その景色をなんだか別世界の出来事のように感じさせる。
もうしばらくすれば、別世界から異形の者がやってくる。
この安らぎの時間を邪魔されるのが、僕はなんだか嫌だった。


唐突にガラリと扉が開き、化狂が教室へ入ってくる。
まるで呪文を唱えるようなイントネーションで
「日直」
と呟いた。

違和感。
みな違和感を感じて、ただ黒板の前に立つ異形を見ていた。
見たことあるが、さて、あれはなんだろうか?
化狂であって化狂ではない何かが、そこに立っている。

「起立」

ガタタッという音が教室中に響く。
ヒュオオッと風切り音。

「礼」
僕だけワンテンポ遅れて礼をする。

「着席」
そそくさと座り、しばらくして静寂。

静寂を待って化狂が黒板に振り向く。
あいかわらずの違和感が教室を包む。

そして僕はつい、呟いてしまったんだ。
小声で。
ごく、小声で、口の中から小さい文字がこぼれ落ちるように。

「おちむしゃ・・・」

と。


静寂。
教室は静寂に包まれていた。
カツカツという板書の音だけが響いていた。

数秒後、後ろのあいつが呟いた。
「おちむしゃ・・・」
刹那、横と斜め後ろの奴が呟いた。
「「おちむしゃ・・・」」


ダムは決壊した。

右端隅から始まったその一言が教室中に伝播するのに10秒とかからなかった。
教室中のあちらこちらから
「おちむしゃ・・・」「おちむ「落ち武者!」」「おお、落ち武者だ」「すごく落ちてる」
という声がさざめく。

しっ!化狂に聞こえるだろ!と思ったけど遅かった。
吹きすさぶ風に飛ばされた、てっぺんはげを隠すためのサイドヘアー。
見る影もなくざんばらになっていることに気づいても、彼は動じない。
鎧こそ着けていないものの、彼は立派な、異形の落ち武者だった。

ゆらりと振り向きこちらを一別すると、また黒板にむき直した。
彼はまだ、戦っているんだ。
僕はそう思った。

マッドサイエンティスティックな落ち武者は、そのままの姿で1時間の勤めを全うし、そしてスッと去っていった。

それからというもの、僕はなんだか、化狂に負い目を感じて高校生活を過ごしていた気がする。

取るに足らない、つまらない思い出。
強い風に舞い散る落ち葉を見ると、僕はそこに落ち武者を思い出す。


それがすごく、いやなんだ。

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2010.02.02

歴女の皆さん!スポーツチャンバラはいかがですか?

スポーツチャンバラ(スポチャン)は、実戦的な武器術シミュレーションとしてとてもお勧めですよ。
道場によっては居合いの稽古もやっているところがありますので、一石二鳥!
型を知り、その意味を知り、実際に戦う。
ストレス発散や自己実現にはもってこいです!
合法的に大声を出せるのもかなりすっきり!

武器が体の一部という感覚を味わったときの達成感はすばらしいですよ。
是非体験してみてください!

2004年からBlog上で見学・体験を募集していますが、沢山の方に参加していただいています。
まずは見て・体験していただいて、知っていただく。
そこから始めたいと思ってBlog上で募集しています。
http://ae.txt-nifty.com/blog/2004/06/post_11.html
アクセスも渋谷徒歩2分と便がいい場所なので、お一人様からお気軽にどうぞ!


参考リンク
歴女ブームついにここまで、武士に憧れる“刀剣女子”
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1001/29/news080.html

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